オフィス移転は、企業や事業主にとって大きな負担となることがあります。
移転にはさまざまな費用がかかると予想しつつも、全体的な予算感が把握できず、話が進まない方はいませんか?
本記事では、オフィス移転にかかる費用や相場、また費用を削減するためのポイントについて解説します。移転を検討している企業や事業主の方々は、是非参考にしていただければと思います。
オフィス移転にかかる費用の考え方
オフィス移転にかかる費用は、移転前のオフィスの状況や移転先の条件によって大きく異なります。
そして入居時と退去時で費用項目が分類されます。事前に費目や概算事例を知っておくことがスムーズな予算設定につながります。次章で、入居時および退去時にかかる費用の種類を紹介します。
オフィス移転時にかかる費目
入居時
- 敷金・保証金
- 礼金
- 仲介手数料
- 火災保険料
- 設備工事費用
退去時
- 原状回復費用
- 廃棄費用
- 運搬費用
これらは業者間共通の費目となりますので、各項目の詳細を解説します。
敷金・保証金
多くの場合、契約締結時に敷金や保証金が必要となります。敷金は賃料の数ヶ月分を預け、退去時に家賃滞納や物件の損傷がなければ全額返金されます。一方、保証金は敷金とは別に、契約違反などの場合に賠償金として使われる場合があります。相場としては、敷金は通常2〜4ヶ月分、保証金は1〜2ヶ月分が一般的です。
礼金
オフィス物件によっては礼金が必要な場合があります。礼金は契約締結時に一括で支払われ、家賃に加算されることはありません。相場としては、敷金と同額程度か、少し低めの金額が一般的です。
仲介手数料
仲介手数料は、物件を探す際に不動産業者や不動産仲介業者に依頼する場合に発生します。業者は、オフィスの条件や予算などを確認し、それに合った物件を紹介してくれます。また、契約書の作成や条件交渉なども業者が代行してくれます。
仲介手数料は、オフィス移転費用の中でも比較的高額なもののひとつです。しかし、不動産業界のプロが物件探しや契約交渉を代行してくれることで、物件をスムーズに見つけることができるメリットもあります。
火災保険料
オフィス移転に伴い、火災保険料が必要になる場合があります。火災保険料は、事業主が保険会社に支払う保険料であり、火災などの災害に備えて建物や備品などの損害を補償してくれるものです。
火災保険料は、保険金額や保険料率、建物の耐火等級、使用用途、立地条件などによって異なります。また、保険会社によっても異なるため、複数の保険会社から見積もりを取って比較することが大切です。
設備工事費用
設備工事費用は、移転先のオフィスに必要な設備や機器を取り付けるための費用です。
具体的には、電気設備や照明設備、空調設備、配線工事、通信設備などが含まれます。移転先のオフィスによっては、設備工事費用が大幅にかかる場合もあります。
たとえば、既存の配線や設備が使えない場合には、全面的な工事が必要になる場合があります。
原状回復費用
原状回復費用は、退去前のオフィスを原状回復するために必要な費用です。
オフィスの原状回復とは、契約時に定められた条件に従って、建物や設備などを元の状態に戻すことを指します。
具体的には、壁や天井、床材などの修繕や補修、クリーニング、塗装、設備の撤去や移設などが含まれます。また、原状回復費用には、不足している設備の購入費用や解体費用なども含まれる場合があります。
原状回復費用は、契約時に定められた条件やオフィスの状態によって異なります。一般的に、契約時には、オフィスを原状回復するための費用が入居者に請求されます。ただし、費用が高額になりすぎる場合には、入居者とオーナーで交渉することも可能です。
廃棄費用
廃棄費用は、オフィス内の不用品やゴミを処理するために必要な費用のことです。移転前に整理や不用品の処分を行わずに退去すると、そのまま残されたゴミや不用品の処理が必要となり、廃棄費用が発生します。
廃棄費用は、オフィス移転において予想外の負担となることがあります。退去前に、不用品やゴミを整理し、不要なものを処分することで、廃棄費用を削減することができます。
また、処分方法によっては、リサイクル費用が削減できる場合があるため、処分方法を検討することも重要です。
運搬費用
運搬費用は、オフィス内の家具や機器、書類などを移転先へ運搬するために必要な費用のことです。具体的には、荷物の量や種類、運搬距離、運搬方法などによって費用が変動します。
運搬費用には、梱包材や資材の購入費用、運搬車両の手配費用、運搬作業員の人件費などが含まれます。
また、家具や機器の分解や組み立て、運搬前の保護加工などにも費用がかかることがあります。運搬費用は、移転前に必ず見積もりを取り、予算内に収めるようにすることが重要です。
オフィス移転概算例
実際のオフィス移転概算例を紹介しますので、参考にしてみてください。
項目 |
金額 |
備考 |
現オフィス家賃 |
¥500,000 |
賃料1か月分 |
仲介手数料 |
¥700,000 |
賃料1か月分 |
敷金・礼金 |
¥10,000,000 |
6ヶ月分 |
火災保険料 |
¥240,000(月額:¥10,000) |
契約2年間 |
設備工事費用 |
¥20,000,000 |
20万円/坪で想定 |
原状回復 |
¥2,000,000 |
10万円/坪で想定 |
廃棄費用 |
¥100,000 |
2トントラック1台分 |
運搬費費用 |
¥200,000 |
2トントラック2台分 |
総計 |
¥24,740,000 |
※社員20人の企業が40坪→80坪(家賃30,000円/坪)に移転するケースを想定
参照元:どれくらい?オフィス移転で発生する費用を概算で大公開!
オフィス移転費用を削減するポイント
ここまでオフィス移転時の費用について解説してきました。なかには、予算の限られた企業もあるかと思います。以下費用を削減するポイントを紹介します。
- 契約の見直し
- 移転作業を内製化
- 補助金・助成金の利用
これら3つの要素は、必ず検討すべき項目です。見積り先の企業もサポートや交渉に応じてもらえる場合がありますので、費用削減したい方は最後まで読んでみてください。
契約の見直し
移転先となる物件の契約を交渉する際、賃料や契約期間、敷金・保証金の額、更新料などの条件を見直すことで、費用を削減することができます。
不動産会社と交渉する際には、競合物件の情報を収集し、交渉材料として活用することが重要です。
移転作業を内製化
オフィス移転にかかる作業を自社で行うことで、業者に依頼する場合よりも費用を抑えられる可能性があります。
例えば、梱包作業や家具の移動作業を社員に任せることで、人件費を抑えることができます。ただし、自社で作業を行う場合は、作業の計画やスケジュールをしっかりと立てることが必要です。
補助金・助成金の利用
オフィス移転にかかる費用を削減する方法の一つに、補助金・助成金の利用があります。以下は、日本で利用できるオフィス移転に関連する補助金・助成金です。
- 地域活性化促進補助金
- 新規事業創出支援助成金
- 雇用創出助成金
これらの補助金・助成金は、申請方法や対象となる業種・規模などによって異なりますので、具体的には各機関のウェブサイトなどで情報を収集し、条件を確認することが必要です。
また、申請には一定の期間が必要であることが多いため、移転前に計画的に手続きを進めることが重要です。次章で、各補助金の詳細を解説します。
地域活性化促進補助金
地域活性化促進補助金は、地方自治体が発行する補助金で、オフィス移転に必要な費用の一部を補助するものです。条件によっては、賃貸借契約締結費用や設備投資費用も対象になることがあります。
新規事業創出支援助成金
新規事業創出支援助成金は、中小企業庁が発行する助成金で、新規事業を立ち上げるための費用を一部補助するものです。オフィス移転費用や新たな設備投資費用も対象となる場合があります。
雇用関係助成金
雇用創出助成金は、厚生労働省が発行する助成金で、新たな雇用の創出を促進するためのものです。オフィス移転に伴い新しい事業を開始する場合や、従業員の配置転換が必要になる場合に対象となることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
オフィス移転は労力とコストが予想以上にかかります。
実際にオフィスを移転するなら、組織の利益拡大や、社員の業務効率の改善など、目的を明確に設定したうえで実行することが重要です。
目的から逆算したうえで、何を優先すべきかを自社内で考えを整理し、最適な予算コントロールをすることが、価値のあるオフィス移転となるでしょう。
ライター紹介
■株式会社アベヤス GDXオフィスラボ編集部
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