人材流出を防ぐ!育児・介護休業法 改正で求められる柔軟な働き方とは?

近年、働き方改革や少子高齢化への対応を背景に、企業の人事・総務部門にはより柔軟で多様な働き方を整備することが求められています。

特に「育児・介護休業法」は、働く人のライフステージに応じた支援制度として重要な役割を果たしています。

令和7年(2025年)4月から、同法が段階的に改正・施行されることが決定しており、企業にとって対応が急務です。

本記事では、人事・総務担当者が押さえておくべき改正のポイントと、職場環境整備のために活用できる助成金制度について詳しく解説します。


目次

1.令和7年4月1日から段階的に施行 育児・介護休業法はどう変わった?

今回の改正では、「介護」「育児」両面において、従業員がより働きやすい環境を実現するための制度改正が進められます。

主な改正点は以下のとおりです。

【1】介護のためのテレワーク導入が「努力義務」に

介護が必要な家族を支える従業員のために、企業はテレワーク等の柔軟な働き方を導入・整備する努力義務を負うことになります。これは、高齢化社会に対応し、離職防止や就業継続を図るための制度的後押しです。

【2】子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得が努力義務に ※2021年改正内容

これまでは半日単位での取得が中心でしたが、育児・介護の実情に合わせて「時間単位」での柔軟な取得が可能となるよう、企業に制度整備を促す内容に改正されました。

【3】企業による育児・介護制度の「個別周知・意向確認」が義務に

対象労働者に対して、制度内容の周知と本人の取得意向を個別に確認することが義務化されます。

これにより、制度を知らずに離職することを防ぎ、制度の実効性を高めます。

※出典:厚生労働省『育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

これらの改正は、段階的に施行され、企業規模に応じて適用時期が異なる場合もあります。

人事・総務担当者は、厚生労働省の通知やガイドラインを随時確認し、対応準備を進める必要があります。

※参考:厚生労働省『育児・介護休業法 改正ポイントのご案内


2.介護のためのテレワーク導入が努力義務化

改正の最も注目すべき点の一つが、「介護のためのテレワーク導入」が企業の努力義務として明記された点です。

背景には、介護と仕事の両立に悩む労働者が増加している実態があります。

実際、総務省の調査によると、40代〜50代の働き盛り世代で親の介護と仕事を両立している層は年々増加しており、介護離職のリスクも高まっています。

●企業に求められる対応例

  • 介護を理由にした在宅勤務制度の整備

  • 柔軟な勤務時間(フレックスタイム制や時差出勤)の導入

  • ITインフラ整備による円滑な遠隔勤務体制の構築

  • 管理職や同僚への介護理解促進研修の実施

なお、「努力義務」とは法的義務ではないものの、企業が対応しない場合、社員の離職リスクや企業の社会的評価低下などの懸念が生じます。

中長期的な人材確保の観点からも、積極的な取り組みが求められます。


3.いま求められているのはワークライフバランスに合わせた柔軟な働き方

育児・介護の両立支援は、単なる福利厚生にとどまらず、企業の「人材戦略」や「働き方改革」の一環として位置づけられるべきです。

特に中小企業においては、少人数で業務を回す必要があるため、従業員一人ひとりの就業継続は経営に直結します。

●柔軟な働き方の事例

  • 育児・介護に関わる社員向けの「コアタイムなしフレックス制度」

  • 「時間単位休暇制度」の導入

  • 子どもの学校行事や通院などへの対応を想定した「シフト勤務の柔軟化」

  • 男女問わず育児休業取得を促す社内キャンペーンの実施

このような制度整備は、従業員の満足度向上、定着率の改善、さらには企業のブランド力向上にもつながります。


4.「職場環境づくり」のために使える助成金

法改正に対応するには制度の見直しや社内周知、システム導入など一定のコストがかかります。

そこで注目したいのが、国や自治体が提供する助成金制度です。

【1】両立支援等助成金

育児・介護に関する制度を整備し、実際に従業員が取得した場合、企業に助成金が支給されます。

また、柔軟な働き方選択制度等支援コースではフレックスタイム制度や時差出勤、テレワークなどの柔軟な働き方制度等を2つ以上導入し対象者が制度を利用した場合、20万円が支給されます。(要件などによる)

※出典:厚生労働省『2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内

【2】人材開発支援助成金(人材育成の一環として制度活用)

介護や育児の支援とあわせて、職場環境改善のための研修(管理職向けのマネジメント研修など)に助成されます。

※出典:厚生労働省『「人材育成支援コース」のご案内

【3】中小企業向け IT導入補助金

テレワーク環境構築のためのソフトウェアやITツール導入に活用可能。介護と仕事を両立できるインフラ整備に有効です。

これらの助成金を上手に活用することで、費用負担を抑えつつ、従業員にとって働きやすい環境を整備できます。

申請には事前計画や要件確認が必要なため、早めの準備がカギとなります。

※参考:経済産業省中小企業庁『サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要


5.まとめ

令和7年4月から始まる育児・介護休業法の改正は、企業にとって「人を大切にする経営」のあり方を見直す絶好の機会です。

特に人事・総務部門は、社内制度の整備だけでなく、従業員一人ひとりのニーズを把握し、柔軟な対応を行うことが求められます。

今回の改正で特に注目すべきポイントは以下の通りです。

  • 介護に対するテレワーク導入が企業の「努力義務」に

  • 子の看護・介護休暇が時間単位で取得可能に

  • 従業員への制度周知と意向確認が義務化

  • 助成金制度を活用しながら職場環境整備を進めることが重要

働き方の多様化は今後さらに進むことが予想されます。

企業の成長と従業員の幸せの両立を目指し、制度改正をきっかけに、柔軟で持続可能な職場づくりを始めましょう。


 


ライター紹介
■株式会社アベヤス  GDXオフィスラボ編集部

私たちは100年以上地域の企業や学校、自治体のお客様のオフィス環境に必要な商品・サービスを提供し続けてまいりました。
GDXオフィスラボでは次世代の「働き方」「働く空間づくり」をテーマに、ワークスタイルに合わせた空間の創造をご提案しております。
編集部ではオフィスに役立つ情報を発信してまいります!


★☆GDXオフィスラボ公開中!☆★

現在岩手県の多くの中小企業が人材確保の課題を抱えている中で、
ESG経営の推進は欠かすことのできないポイントになってきております。

GDXオフィスラボは、人材課題を解決する糸口となるよう、
最先端技術や社員が働きやすい空間を体験、体感が出来る場所としてショールーム&コワーキングスペースを公開しています。

最新技術を使用した快適なオフィス空間づくりや環境への取り組み、
次世代の「働くの見える化」を追求したデジタルツールやシステムを
GDXオフィスラボへぜひ体感しにいらっしゃいませんか。

岩手でオフィスのリノベーションをお考えの方、
店舗の移転や改装をお考えの方は是非お気軽にお問合せ下さい。

オフィスのリノベーションで
「働く空間」「働き方」を提案します

CONTACT US