2015年 パリ協定において、世界各国は地球の産業革命後の平均気温上昇を2℃未満、1.5℃までに抑える努力を継続することを目指すことに合意しました。
日本でも温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする、いわゆるカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを2020年に当時の菅総理が宣言しました。
多くの大企業が自社のカーボンニュートラル目標を設定し、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。
サプライチェーンに属する中小企業だけでなく、社会全体でも脱炭素社会の実現に向けた動きが高まっています。
本記事では中小企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットや、カーボンニュートラルを達成するための施策について解説します。
目次
1.カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、人間の活動によって排出される二酸化炭素やその他の温室効果ガスの量を、吸収や削減の対策によって実質的にゼロにすることを指します。
これは、排出された量と同等の量の温室効果ガスを削減、回収、またはオフセットすることで達成されます。
カーボンニュートラルの概念は、気候変動を緩和し地球温暖化を抑制するための重要な手段とされています。
カーボンニュートラルを達成するための具体的な方法には以下のものがあります。
①再生可能エネルギーの利用:
風力、太陽光、水力、地熱などの再生可能エネルギーを活用し、二酸化炭素を排出する化石燃料の使用を減らします。
②エネルギー効率の向上:
省エネルギー技術の導入やエネルギー効率の高い設備や機器の使用を促進し、温室効果ガスの排出量を削減します。
③カーボンオフセット:
植林活動や炭素回収・貯蓄技術(CCS)を通じて、排出された二酸化炭素を吸収または回収します。
④持続可能な交通手段への切り替え:
電気自動車やハイブリット車の普及、公共交通機関の利用促進、自転車や徒歩の推奨などを通じて二酸化炭素の排出量を減らします。
政府は2035年までに新車販売を100%電気自動車にすることを目標にしており、2050年には利用も含めたガソリン車の廃止を目指しています。
参考:経済産業省資源エネルギー庁『自動車の“脱炭素化”のいま(前編)~日本の戦略は?電動車はどのくらい売れている?』
2.スコープ1、2、3とは?
グローバルに事業を展開する大企業ではすでに様々な取り組みを実施しており、そのサプライチェーンに属する中小企業にも温室効果ガス排出削減を要請しています。
グローバル企業がこのような対応をする背景には、脱炭素化に対応できなければ自社の製品やサービスを購入してもらえない、つまり選ばれなくなるという社会的な危機感ががあります。
そして、そのサプライチェーン上の中小企業も大企業と同様にカーボンニュートラルを進めていかなければ取引先として選ばれなくなる恐れがあります。
※参考:『中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック -温室効果ガス削減目標を達成するために-Ver .1.1』
サプライチェーン排出量 【スコープ1、2、3】
サプライチェーン排出量とは、事業者自らの音質効果ガス排出量だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量を示します。
サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量
スコープ1:事業者⾃らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、⼯業プロセス)
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使⽤に伴う間接排出
スコープ3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
※出典:環境省『サプライチェーン排出量全般』
グローバル企業がサプライチェーン排出量の目標を設定すると、そのサプライヤーである私たち中小企業も巻き込まれる形になります。
いち早くカーボンニュートラルに対応することが競争力につながります。
※参考:環境省『中小企業のカーボンニュートラルに向けた取組』
3.中小企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット
今、企業の持続可能性や中長期的な成長を測る基準として、ESG経営への取組が注目されています。
ESG経営とは、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の三つの要素を重視した経営を行うことを指します。
ESG経営に取り組むことで消費者や取引先から評価され、市場競争力を高めることに繋がります。
こういった背景もあり、中小企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットには以下のものがあります。
①市場競争力の向上
前述のように、今、多くの大企業で脱炭素への取組をしており、自社だけでなくサプライヤーである中小企業に対しても排出量削減を求める傾向が強まっています。
カーボンニュートラルに取り組むことで、こうした企業への訴求力が高まります。
また、環境への取組を実践した商品・サービスは消費者からも選ばれやすくなり、市場競争力の向上につながります。
②光熱費・燃料費の削減
省エネやエネルギー効率の高い製品・技術等に転換することで、光熱費、燃料費の削減につながります。
例えば、照明をLED化することで大きく電気代を削減することができます。
※関連記事:『【2027年問題】蛍光ランプがなくなる!オフィス照明をLED化するメリットは?LED照明導入に使える補助金とともに解説』
③企業イメージの向上
省エネやカーボンニュートラル等の取組を対外的に発信していくことで、企業イメージの向上につながります。
④人材の確保
環境への取組を含むESG経営に積極的に取り組む企業は求職者からも評価されやすくなり、人材の確保につながります。
また、環境問題に取り組む姿勢を見せることで社員からの信頼につながり、エンゲージメントを高めます。
⑤金融機関からの評価
多くの投資家がESG経営を重視するようになっています。
環境に関する取り組みはESGのE(環境)につながり、金融機関の支持を得ることにつながります。
4.カーボンニュートラルアクションプラン
カーボンニュートラルは中小企業も取り組んでいかなければならないものですが、いきなりカーボンニュートラルや温室効果ガスの排出量を可視化に着手するのは非常に難しいでしょう。
経済産業省より『中小企業支援機関によるカーボンニュートラル・アクションプラン』が公開されています。
中小企業に対してカーボンニュートラルの取組を支援する機関とその内容をまとめたものになっています。
中小企業が脱炭素化を進め、持続可能な成長をしていく上で、専門家のサポートは不可欠なものになります。
各自治体ごとの中小企業支援機関はこちらから確認できます。
⇒経済産業省:『中小企業支援機関によるカーボンニュートラル・アクションプラン』
当社では中小企業のCO2排出量の可視化や環境を含むESG経営の伴走型支援、ZEBによるオフィス空間づくりの支援やアドバイスを行っています。
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5.まとめ
日本は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという目標を掲げています。
世界ではカーボンニュートラルの動きがさらに強まっており、グローバルに事業を展開する大企業だけでなく、そのサプライチェーンを取り巻く中小企業にも同様の対応が求められています。
カーボンニュートラルへの取組をいち早くすることで、競争力を高め、取引先や消費者、求職者等のステークホルダーからの信頼につながり、たくさんのメリットがあります。
しかし、中小企業がいきなりカーボンニュートラルに取り組むことは難しいです。
専門家や支援機関のサポートを活用し、カーボンニュートラルを進めていきましょう!
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ライター紹介
■株式会社アベヤス 佐々木 葵
農業機械業界、移動体通信業界を経て2024年に株式会社アベヤスに入社しました!
広報歴は合計3年程になります。
ゆるキャラの中の人としてSNSを運用したり、社内報を作っておりました。
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